『椿姫』 LA TRAVIATA
ジュゼッペ・ヴェルディが1853年に作曲したオペラ
原題 La Traviataは『道を踏み外した女』を意味する
全3幕からなる悲劇
音楽的明るさ、華やかさ、力強さを失わないヴェルディの特質が発揮された人気の悲劇である
主な登場人物
ヴィオレッタ・ヴァレリー(高級娼婦・男爵のパトロンがいる)
アルフレード・ジェルモン(青年貴族)
ジョルジュ・ジェルモン(アルフレードの父親)
フローラ・ベルヴォア(高級娼婦・ヴィオレッタの友人)
第一幕 ヴィオレッタの家の客間
「乾杯の歌」
アリア「ああ、そはかの人か~花から花へ」
第二幕 第一場 パリ郊外の家
アリア「プロヴァンスの海と陸」
第二幕 第二場 フローラ家の大広間
第三幕 ヴィオレッタの寝室
アリア「過ぎし日よ、さようなら」
「BACCANALE」
「村祭り」 Camille Cannas
この曲は四つの叙情的短編を一つに集めた組曲で、村祭りの一日を幻想的に描いたものである。
1.牧場にて
うららかな秋日和の午後。牧童の吹くよし笛の音は朗らかな平野の彼方の森に反響する。やがて人々は楽しそうに祭りの踊りを始める。
2.森の中
日がようやく西に傾きはじめ、森の中では鶯が鳴きはじめる。呼子鳥がそれに応えるように高い木梢のかなたで鳴きかえす遠くから人々の歌い声がかすかに聞こえる。森は静かで、人々は平和だ。
3. 村をさして
夕べ、牧場の人々は村をさして帰っていく。鐘をたたいて歌をうたいながら森のあなた、小川のこなたと曲がりくねった小道をたどっていく人々の行列の声音が聞こえる。
4.村人の踊り
夜があたりをつつむ。村人は祭りの歓楽に酔って踊る。喜びもこれに勝るものはないかの様に、狂おしげに乱舞する。そして歓楽がその極みに達した時、この曲は終わる
交響詩 「弥勒」 赤城 淳
不幸にして現在の私は仏教に対する信仰心の持ち合わせが全くない、がこの弥勒菩薩には、若い時から、そこはかとなく憧がれていた。勿論、動機はあの広隆寺の宝冠弥勒であり、何がこんな美しい像を造り出させたかという素朴な疑問に捉われ続けて来た。
西方浄土にあるという兜率天で、何億年か先の遥か未来にある自分の出番をじっとまちつづける弥勒、そして釈迦の教化に漏れた未世の一般衆生を救い、美しく楽しい弥勒浄土を作るといわれる弥勒、仏教そのものはインドに生まれ、中国思想を合わせて日本に到来したものの、すっかり風土に同化して、恰も日本古来のものとさえ思われてしまった。
信仰心のないものが、その弥勒の像形を、又信仰そのものを題材とするという危険を冒し、一応日本的な音の使い方を基盤として形式的にも一つのまとまりをもたせたのがこの曲であり、今まで多くの自然に題材を求めて来た私にとって、永年心にあたためていたにも拘わらず、大変に苦労したのも無理ないと、つくづく考えている。